実は初めの頃は何度も失敗した。理論武装しないと怖いので一生懸命勉強した。しかし社長の悩みがいろいろで、ストラックが嫌いな社長もいる。何も考えていない社長には響かない。五島さんは「顧客の問題解決を自分の仕事にすること」と常々言っている。社長の問題は何なのか。それは聞けばいい。“武器”を持っていって相手を突き刺そうとしても外れることがある。それは相手の急所を知らないからだ。急所を調べるのが先なのだ。

 2回目の訪問になると、社長の温度が下がっていることがある。そこで議事録を作って持って行くことにした。これは沖野さんから学んだ方法だ。「前回こんな話をしました。こんな悩みがあると話していました」。社長は「そうだそうだ」となる。税理士はこんなことをしない。では1回目の社長との面談でどのような話をするか。これは沖野教室でバッチリ教えてもらった。

 当初コンサル先は14社あり、月1度2時間のコンサルで月額15万円いただいていた。業種は加工・製造業がほとんどだ。なぜならコンサルを始めた当初、相手先が全てこの業種だったからだ。業界研究をしっかりやった。小さい会社は資本金300万、売上1億円、社員数9人、大きい会社は資本金3000万、売上16億、社員数150人。社長が誠実でない場合はコンサルの依頼を断っている。

 実は顧問先が10社を超えたあたりから「これ以上は無理だ」と思った。しかし顧問先が増えないと収入も増えない。そこで私は、顧問先は10社で良い。その代わりに1社から30万円もらえるようにすればいい、と考えを変えた。ひと月に10日間仕事をして、残りの20日間はその仕事のための準備をする。セミナーに行ったり、本を読んだり、これが私の財務コンサルとしてのサイクルである。


(つづく)