「売る物がない」「売る商品がない」と思って右往左往している人が多いのではないか。しかし、考えてみると、過去には何度も商品改定がありました。税務処理の変更もありました。例えば予定利率の変更についても、私が業界に入った28年前は6パーセント台。そのころは長期定期保険を全損で売っていた。

 何が言いたいかというと、商品性がずいぶん変わってきたということ。そういったことを考えるのが1つの前提。

 次に、何で売り止めにしたかというと、節税売りという本来とは違う使い方売り方をしたということ。

 節税売りはどんな売り方か。「今期いくら利益が出てますか」「じゃあこれくらいいっときますか」。これを私は2行商談と言うんですけどね。

 やっていた人は反省してください。

 そもそも節税とは利益を減らす行為でしょう。利益を減らせば結局企業価値を毀損する。節税の本質は企業価値の毀損であると思ってほしい。利益を消す、潰すという行為はね。それを考えると、企業価値を毀損する売り方をしていたということになるんじゃないかと思うよ。

 私がみなさんにやってほしいのは原点回帰です。どういう意味かというと、原理原則に回帰するということです。

 原理原則は3つ。

 1つめは、顧客の不満足のビジネスに明るい未来はない、ということ。

 2つめは、売れればいいというわけではない、ということ。あしたも売れる保証はないのだから、正しい売り方をして多くの支援者の中でわれわれは仕事をしていかなければならない。

 3つめは、顧客の問題解決がビジネスの唯一の成功要因である、ということ。

 こういうことを考えずに保険を売ろうとするから節税売りやキャラ営業になってしまう。

 では、顧客の抱える問題とは何か。

 日本には380万の会社があり、99.7パーセントが中小企業。労働生産人口の約70パーセントを雇用しているにもかかわらず、70パーセントが赤字。これが問題、つまり金が足りないのだ。

 もう1つは、2020年に70歳を迎える経営者は245万人いる。その70パーセントが廃業を予定している。

 だから私たちは企業経営の本質である継続を阻害する財務問題と事業承継問題の解決をする。

 営業は「継続貢献営業」だ。これは、付き合うべき経営者に対して長く貢献して信頼していただき、全てを任せてもらうこと。

 個人保険を否定するわけではないが、売りっぱなしは顧客の不満足を招く。これでは社会的地位を向上させる仕事ではない。不満を持った顧客は我々や保険業界を蔑むのは当たり前。

 生命保険は顧客の未来をよくするための部品なのに、これを商品として売ろうとするからおかしくなる。

 保険は、誰に、いつごろ、いくら。この中で「いつごろ」は読めない。

 いつごろか分からないけれど、迷惑をかける可能性を持っているから生命保険がある。

 さて、先ほどの「全てを任せてもらっている」状況はあまりつくることができていない。

 例えば連帯債務に対する相続対策の保険の必要性は当然ある。債務は相続されるからね。

 次に企業価値向上対策だ。新たな理論理屈を作ろうと思っている。

 ほかには、福利厚生対策と事業承継対策、相続支援対策、従業員のライフプランニング。やれることはまだまだある。

 全ての契約の源泉は信頼関係にある。どう考え、どう行動するか、皆さんが深く考えて決めてほしい。



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