五島さんに出会うまでは決算書を見て商談をしたことなどありません。決算書を見せてくれと社長にお聞きしたこともありません。見せてくれるはずがない、私が社長に有益な話をして差し上げられないと思っていたからです。決算書を見ても、どんな流れで商談に組み込めばいいのか、商談としてどう組み立てるか、どう決算書を改善するのか、銀行格付けの言葉も中味も知らなかったのです。決算書を用いた財務改善の方法は今まで聞いたことのないものでした。同僚も知りません。

 

五島さんとの出会いは私のそれまでの法人保険営業のスタイルを激変させました。

 

「90日プロジェクト」に参加していた当時でも60社くらいとお付き合いがあり、決算書を預かれば格付けをよくする提案ができる状況でした。しかし、もっと学ぶことがあるはずだ、もっと体系化されたものを学びたいという思いがあり、戦略法人保険営業塾と日本BCP協会の認定インストラクター養成講座に入会しました。

 

 戦略法人保険営業塾で学んだことを自分なりに深めることで日々の商談に活かせます。五島さんに出会う前は「保険」の商談をしていました。それが今は保険の話でアポを取ることはありません。「決算が近いので試算表が出ていると思います。決算組みの作業をさせていただけませんか」と尋ねてアポを取っています。お預かりした決算書を修正して「これを顧問税理士にお伝えください」と言ってお返しします。そのあと決算書が直っているかどうか確かめます。

 

直っていたらひと安心です。社長に「銀行と金利交渉してきましょう。借入一覧表を見せてください」と依頼します。2.75の金利を1.2に下げたり、2.85や2.45の金利を1.8に下げたりしてきました。2.65くらいの金利だった会社の社長が「0.55で借りられるようになった。本当にありがとうございます」とお礼の連絡をくださったこともあります。

 

グループ会社に長期貸付金があり、回収不能なことが分かった会社には特損で落とすことを助言し、格付けを上げたのち銀行交渉を提案しました。その会社は大同生命の保険に入っていましたが、私から終身保険に入り直してくださいました。時には「助成金の話をしたいので、私のパワーパートナーをお連れします」と話して助成金の仕組みを話すこともあります。

 

 個人保険から法人保険に変えることでこのように仕事の内容が激変しました。結果として先様から言われる「ありがとう」の深みが変わってきたと感じています。個人保険であれば「我が家までわざわざ来てくれてありがとう」という意味合いでしょうが、会社の銀行格付けを上げ、融資条件を格段に改善し、支払利息を減らした後の社長の「ありがとう」は重みが違います。

 

銀行との金利交渉がうまくいって1.6パーセント下げることができた社長がすぐに電話してくださって「Jさんから話を聞かなかったら銀行交渉なんかしなかった。ありがとう」と言ってくださった時の「ありがとう」ほどうれしい言葉はありませんし、法人保険営業マン冥利に尽きます。

 

「どうしてもっと早くJさんに会えなかったんでしょうね」と経理の女性に言われたこともあり、このような言葉の数々が私にもっと勉強しなければと叱咤激励してくれます。学んで習得したことがすぐに企業のお役に立つのですから、これほど面白い勉強はありません。

 

 

 (つづく)


五島聡の戦略法人保険営業塾