「あんたならできると私は思っている。あんたを応援したいの。タカチンならできるから」

 私が保険営業マンに転職することを彼女は最初反対していました。前職で知り合ったので、お互いに仕事の能力は分かっています。そんな彼女の励ましを受けて、頑張らなければと思い直そうとします。

 でも、溺れて死にそうな感じです。何かヒントはないだろうか。そんな思いで本屋に行った私の目に『奇跡の営業』という本が飛び込んできました。筆者の山本さんが書いた一文に共感しました。営業がうまくいかなかった時期に「30パーセントのお客様のために頑張ろう」と思ったと言うのです。

 思えば私も10人に話して3人はご契約くださっていました。ご契約に至らなかった70パーセントの人を見るのではなく、私を信頼して保険を預けてくださった30パーセントのお客様のために頑張ろう。こう思うことで、仕事を続ける大義ができました。

 さらに熟読し、この本に書いてあることは全部やろうと決めました。最低5回は熟読したはずです。

 私が実行したのは『奇跡の営業』に書いてあるとおりのことです。既契約者から紹介をいただくしかないと覚悟し、『奇跡の営業』の要点をノートにまとめ、本に書かれているとおりのアンケートを作って、配りました。お客様が男性か女性かで使うペンを分けるなど、徹底して真似をしました。手帳の裏表紙には紹介が出ない時のチェック項目を載せ、紹介紹介紹介で突き進んだのです。

 この行動が目に見える結果を招きます。40人在籍するオフィスで、1年後に契約件数3位に躍り出ることができたのです。

 しかし、壁に突き当たっていました。

(つづく)