メルマガで3回に分けて紹介したHさん(37歳)の証言をまとめてここに採録します。

★最初の5カ月は売れた!

 私は投資用不動産の営業をしていました。目の前に商品がありませんし、口先の言葉だけで仕事をするので、人として認められていないように感じていました。

 とはいえリテール営業はこんなものだとも思っていました。保険の営業も同じだろうと感じていたので、保険の世界には行きたくありませんでした。

 そんな私がひょんなことからいくつかの保険会社の話を聞いて、某社に営業マンとして入社しました。

 最初のうちは順調でした。前職の取引先や先輩後輩が私から保険に入ってくれたので、5カ月間は売れたのです。

 投資用不動産の営業が大変難しかったので、保険の営業はやりやすいと感じました。お客様に安心を届けるという使命感を持てましたし、値引き交渉などありませんし、商品が真っ当ですし、世の中から100パーセント認知されていますから、「加入しましょう」とズバリ言えるのです。

 ところが、この状態は長続きしません。すぐに行き先がなくなりました。既存客に「ご紹介をください」とお願いしましたが、全くいただけません。

 前職の投資用不動産の会社から見込み客を紹介してもらい、その人の保険証券を分析して、という方法を試し、毎月ACで50万円ほど上がるようになりました。しかし、遠方の人が多く、交通費や時間を考えると、このビジネスモデルには発展性がないとすぐに気づきました。

 2年目の私は売れない営業マンになっていました。MDRTを目標にしているものの、行き先がないのです。周囲を見渡すと、50人ほど営業マンがいるのにマネジャーを含めて誰もMDRTに入っていないことに気づきました。

 そこで社内のほかのオフィスが開催している勉強会に参加していろいろなノウハウを手に入れました。しかし、営業の数字にほとんど反映しません。

 こうして2年目は低空飛行で終わりました。2年目は法人保険営業を始めたかったのですが、社内では法人保険営業で成果を上げている営業マンが見当たりません。お手本にすべきモデルがいないのです。法人保険営業の成果を上げている営業マンといってもせいぜい損金売りでした。

 どうすればいいのだろう。私は迷路に入ってもがき苦しみます。


★見込み客がなくてもがき苦しんだ

 売れない営業マンになってもがいていた私に何度か声をかけてくれたのが他社のマネジャーさんです。このマネジャーは「何でそんな売れないんだ? 教育をきちんと受けていないんだな。本当にこの業界でやっていきたいなら、ゼロから教えるからこっちに来い」と誘ってくれました。

 そのマネジャーから講演会に誘われました。「五島さん、知ってる? 講演をしてもらうから聞いてごらん」

 五島さんの名前は同僚から聞いて知っていました。50億円の契約をもらったことで有名です。すごい人がいると驚いた記憶があります。その五島さんの講演を聞いて感じたのは「私と全くかけ離れた存在の人が、私と全くかけ離れた話をしている」ということです。それくらい遠く、はるかかなたに輝いている星でした。

 2012年1月から自分なりに法人営業を始めました。知り合いに経営者がいないので、私の守備範囲である地域の会社に毎朝8時から9時までの1時間電話をかけました。

 とはいえ、何を話せばいいか分かりません。保険の話でアポが取れるとも思いませんでした。

 しかし、ここで活用したのが五島さんの名刺交換時のトーク、「私の仕事の目的は」で始まるあれです。そうすると10件に1件の割合でアポが取れるようになってきました。

 ところが、次の問題がありました。“武器”がない状況で経営者に会うので、話すことがないのです。マネジャーから2つほどネタをもらったのですが、「うち、いいわ」とか「ふーん、必要なら検討する」で終わりです。

 今振り返るとニードに関係なく言うので断られるのは当たり前なのですが、当時は心が折れて、同僚に電話して愚痴を聞いてもらったものです。

 マネジャーに勧められ、2012年8月にライブシーに入会しました。毎月5万円はめちゃくちゃ高いと思いましたが、マネジャーに言われたことはすべてやろうと思っていたので入会しました。

 ライブシーでビジョンアプローチと銀行格付けを学び、テレアポを続けました。経営者に会うと、まず「社長はどんな会社にしたいのか聞かせてください」と切り出します。そこからビジョンアプローチの話になり、銀行格付けの話に発展し、決算書をお預かりする流れができてきました。

 ビジョンアプローチを実行するようになって、経営者との面談時間が長くなりました。私が話すのは最初の5分で、あとは経営者がずっと話すようになったのです。爆発的な効果を感じました。


★会社の保険をすべて任せる」と言われた

 ビジョンアプローチの爆発的な効果を知った私は、こうして決算書を預かり、検査マニュアルに基づいて私が算出した銀行格付けを次回お持ちすると、たいそう喜ばれます。

 ある社長は勉強熱心なので、会社に来る営業マン全員に会っていました。しかし、財務の話や事業承継の話をする営業マンはこれまでいなかったようです。その会社の株式を誰が何株保有しているか事前に下調べをしておいて、その話をすると、社長が「すごい営業さんだ」と絶賛してくださったほどです。

 ある経営者の話をします。世界的なIT企業の部長さんだった人です。数字にめちゃくちゃ強い人です。

 リーマンショックでリスケしていたので、資金繰りに苦しんでおり、銀行格付けには大きな興味を持ってくださいました。

 ライブシーで学んだとおりに決算書の改善をすることにしました。改善前と改善後をエクセルで作成して示したことが大きな信頼につながったようです。

 さらに決算書を五島さんに見てもらいました。
「役員報酬が高すぎる」
「どこまで下げるべきですか」
「社長が生活できるくらいまで下げるべきだ」
 このアドバイスを胸に、社長に会いました。

 しかし、そんなことまで言ったら嫌われてしまうのではないかという不安がありました。「何でそんなことをお前に言われなければならないんだ」と叱られてしまう可能性がありました。

 実は社長は役員報酬を月額120万円から70万円まで下げていたからです。私は恐る恐る言いました。「生活水準を変えない程度まで下げることは可能でしょうか」

 社長は黙ったまま目線を床に落としました。しばらくして目を上げて私を真正面から見て、こう言ってくださいました。

「ここまで話してくれる営業マンはいない。会社の保険はあなたにすべて任せる」

 いろいろな保険会社の営業マンが来ている中で私を選んでくださったのです。そして、連帯保証の債務対策として4億円の10年定期にご加入くださいました。

 この会社はその後リスケを解消し、売上が1億円増え、経常利益が7000万円出ています。

 この社長は勉強会を主宰していて、そこで話してくれと依頼を受けました。決算書と銀行格付け、事業承継について話し、そのあと個別相談を受けるまでになりました。

 ライブシーで興味深いのは五島さんが実践している事例です。アウトプットをどうやっていくか、どう行動するか、五島さんの事例から学べるところが魅力です。

 沖野教室ではコミュニケーションの方法がとても勉強になります。沖野さんほどの人があれだけ入念な準備をすることが驚きですし、大きなヒントを得ました。

 おかげさまで収入が4倍になりました。MDRTに入会できたばかりか、社内で2年連続トップ営業マンになることができました。社内2位の営業マンとは手数料ベースで、一時的ではありますが2倍の差が開きました。

 個人的な話ですが、都内に家を建てます。田舎の出身の私が土地家屋で計1億円の家を建てるのですから、ふるさとの両親は目を白黒しています。35年ローンで毎月25万円の支払いです。でも、東京で成功している姿に親は安心して、喜んでいます。親孝行ができたかもしれません。

 まだ小さな子どもがいるのですが、「大きくなったら保険屋さんになる」と言っています。保険営業マンが子供たちの憧れの職業になれば嬉しいです。